| 熊野古道とは |
熊野古道とは、古くより熊野三山へと巡礼に向かった街道のことです。熊野三山は、熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)、熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)の「熊野参詣道中辺路」によって相互に結ばれている三つの神社を言います。 東紀州熊野地方は、古事記や日本書紀に数々の神話の舞台として登場します。 豊かな自然に恵まれたこの地域を南北に縦貫する熊野古道は、かつては厚い信仰の道として遥か遠国からも参詣者や巡礼を集め、一時は「蟻の熊野詣」と称される賑わいを見せました。 現在、国道や県道に整備され姿を変えてしまったところもありますが、難所ゆえに開発の波から逃れ、往時そのままの美しい石畳や景観を残すところも多くあります。 平成16年7月7日、熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」は、ユネスコの世界遺産リストに登録されました。熊野古道の、自然と人との深い関わりのなかで形成された優れた「文化的景観」を持ち現在まで良好な形で伝えられていることが、高く評価されたのです。 |
| 熊野地方の食文化 |
海、山、川と豊かな自然に恵まれた熊野地方には、ここならではの名産や郷土の味があります。まずは、「しらすめし」。捕ったばかりのイワシの稚魚を、釜揚げという捕れたてをすぐ短時間で茹でる方法で茹で、ご飯に乗せるというこの地方の伝統的な料理です。しらすは小皿一杯で、1日に必要なカルシウムを充分に摂取でき、魚の脂肪酸DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(イコサペンタエン酸)も含まれているという、大変栄養価の高い健康食です。 そして「さんま寿し」。10月から12月にかけて熊野灘沖で捕られるさんまを使って、姿寿司が作られます。さんまを背開きにして酢につけ、ゆずで香りを出して作りますが、これはめでたい席には欠かせないハレの料理です。 「めはり」は何百年もの昔から紀州の農・山・漁村で弁当として伝わってきました。ご飯をソフトボール大に握り、塩漬けした高菜の漬け物で包んだ素朴なものですが、お弁当とすれば大変合理的なものです。 とにかく大きいので、大人でも口をいっぱいに広げないと食べられません。口を大きく張ると、それにつられて目も大きく張ってしまいます。それで目を張る「めはり」と呼ばれるようになりました。このように、熊野地方にはユニークで多彩な食文化があり、現在も観光客や地元の人々を楽しませていますが、東京の築地で「ほんまもん」の熊野料理が堪能できるようになったことは、嬉しい限りです。 |